HouHou-ShuHou!第37号 南アルプスの旅 後編
第36号からの続きになっています。
北岳、中白根山とガッスガス爆風の中、それでもめげずに歩き続けるHouHou探検隊。楽天的で前向きやり遂げたい派おじさん隊長ゆうすけと、慎重派かつすぐアレンジしたがる世の中ナナメに見るおばさん隊員みさとの2名。わたくしは正直「なんだかんだいって、このままガスなんかもしれん。白峰三山の思い出はガスなんかもしれん。ここで引き返し下山して、明日は街遊びでもいいかなぁー」と思っていましたよ。ゆうすけは、絶対に晴れると信じて疑ってなかったと思います。そういうところ、すごく羨ましいなと毎回思います。

間ノ岳までは、たくさんの人とすれ違いました。やっぱり北岳、間ノ岳は百名山なので、いろんな種類のハイカーがいます。最近よくニュースになっている軽装備の外国人カップル。もちろんこの風では走れないですよね?トレラン装備のおねえさま。2人分の荷物を背負った父と、そのお子さん。高校生の登山部。ガスのなかでも楽しそうにおしゃべりをしながら歩くツアーのおばちゃま達は「何にも見えないわー、写真がぜーんぜん撮れないわよねぇー」なんて、不満を口にしながらもキャッキャ楽しそう。「いやぁ、鍛えられますねぇ」なんて笑い合いながら「お気をつけてー」と行き違った数分後。

急に空には青の成分が増えてきました。さっきまで5m先なんて真っ白だったのに、振り返るとツアーのおばちゃまたちのカラフルなウェアが目に入る。いいぞいいぞ、その調子!ヒューヒュー!!

まだまだ風は強いけれど、美しき稜線が姿を見せはじめて…

ついに北岳がそのお姿を現してくれました。感激!!!隊長、諦めずに進んでくれてありがとうございます。おてんとさま、ありがとうございます。間ノ岳山頂ではみんなが晴れ間を喜びあい、諦めなくてよかったと口にしていました。

でっかい間ノ岳を越えて、西農鳥、農鳥を目指す。ここまで来ると、誰にも遭わないすれ違わない。百名山と二百名山の差異とはかくあるものか…景色ひとりじめ、自分たちの息遣いだけが聞こえる、静かな山歩きになりました。うん、こういうのが好き。

日差しの強い稜線歩きには、山と道のOnly Hoodがめっちゃ便利です。手拭いを巻いてもいいけど、風があると飛ばされそうで心配になるもんね。

午後からは天気が崩れる可能性がある為、あんまりのんびりもしていられないのですが、東西南北どちらをみても山山山というご褒美ビューに、ついうっとりして足を止めてしまう。さっきまであんなに寒かったのに、今はもう肌を刺すような太陽のエネルギーで、のぼせるほど暑い。

雲が上がってきはじめました。さぁさぁ、ここまできたらあとは下るばっかり。大門沢小屋に向かいます。

下りだからといってラクなわけではありません。暑いし、歩きにくい道が続き、スタミナを消耗します。ここは、トレッキングポールをザックにしまって、手袋を装着したほうが安全に下れると思います。疲れてしまうとポールをしまうのが億劫になって無理に使い続け、顔から転んでしまったり、予期せぬ方向へ倒れてしまったり。膝を曲げるのが辛いのかもしれないですが、危ないと思ったら腰をしっかりと落としてから次のステップに進む方が、怪我をしにくいです。場合によっては、完全にお尻をついてから、脚を運ぶ。捻挫や転倒のリスクは確実に下げられます。
時間は14時を回って”魔の時間”と呼ばれる、遭難事故や怪我の多く発生する時間帯に。疲れが蓄積しはじめ、眠気も訪れやすく、多くの場合で行程の後半に差し掛かり、集中力が途切れやすくなることが原因と考えられています。わたくしたちも例外なく疲れ出はじめ、変わらぬ景色に集中力も途切れがち。「あとちょっとだから」と突き進まずに、こんな時だからこそ一度立ち止まって水分補給と栄養補給。相変わらず誰にも遭わず、熊でも出てきやせんかとドキドキしながらの休憩でした。いやーしかし、遠い。つかない。事故が多いのも頷ける。ここを登るのは、なかなかに手応えがあると思いますので、急登が大好きな方は登りで使ってみてください。

大門沢小屋は沢のすぐ横にあり、こぢんまりとした雰囲気がとても素敵。早くに亡くなったお父様の後を継がれたという、若い小屋主さんが受付をしてくださいました。たくさんのアサギマダラがふわふわと舞っている姿が幻想的。テント場からは富士山が見え、近くには湧水が。手拭いを濡らして、じゃぶじゃぶと顔を洗いました。

幸い、夜も雨がふらずに、テントの外でのんびりと過ごせました。明日には山をくだるのだと思うと、眠るのが勿体無い気がしてしまうのですが、しっかりとマッサージ・ストレッチをして、早めにおやすみなさい。


最近、遠征ではだんだんとご飯がはいらなくなっていくわたくし。最終日は、いつものPONIPANグラノーラに助けられました。ひとつぶ、ひとつぶ口に運んでポリポリとリスのように食べる。それを繰り返していると、ある程度のエネルギーが摂取できます。塩の具合が本当にちょうどよくて、だんだんと元気が湧いてくる。行動食にもピッタリ。(HouHouレジ前に置いてます)そして、みんな大好きお味噌汁。こちらも、食欲がない時の救世主。
さぁ、ここを降りれば温泉が待ってます!最後までケガなく歩こう。



最終的に発電所に降る道なのですが、その手前で工事現場に出会います。リニアが走る道を作ることに関わる工事がそこかしこで行われているエリア。人間はどこまで便利を追い求めるのでしょうね。深い自然から出てきたところに、その正反対の世界がありました。

お風呂は、お客様おすすめの奈良田温泉「女帝の湯」平日の早い時間だったこともあって、貸切でサイコーでした。やっぱり、ORITARA ONSENですよね!

今回は奈良田に車を置いていたので、お風呂に入ってご飯を食べたら、自宅に向かって出発。行きは中央自動車道で諏訪湖の脇を抜けて甲府に出ましたが、帰りは静岡方面へ。道の駅なんぶは、フルーツ盛りだくさんで、ついついたくさん買ってしまいました。車での遠征は、お土産を買いすぎてしまう。

静岡方面に抜けた理由は、ゆうすけ隊長の「さわやかのハンバーグを食べて帰りたい!」という願いを叶える為でもあります。わたくしは特に何の欲もなく生きているので、こうして「行きたい!食べたい!」というアイディアがある人と行動するのは、いろいろ経験できて楽しいですね。もし、ゆうすけと一緒にいなかったら、近所の山ばっかり繰り返し登っていると思います。さてとお腹がいっぱいになったところで、ここから11時間のドライブ。途中で台風とすれ違うというハプニングもありましたが、無事に楽しく怪我なく帰ってこれたので、今回も100点です。

ここ最近で「アルプスへ行ってみたいけど、どうやって計画したらいいのかわからない」という相談を多く受けるようになってきました。九州からだと遠くて、何からコトを進めていいのかわからないということと、自分の体力や技量で、どの山だったら挑戦できるのかがわからないといったところ。もう今年のシーズンはほぼ終わりですが、わたくしのおすすめ計画方法を書いてみます。
まずは、山と高原地図を買ってみることからはじめる方法です。

どこに行きたいかすら決まっていない人は、本屋さんでちらりと中を見せてもらって検討材料を仕入れよう。もちろん、雑誌などから得られる情報もある。ここでのポイントは「webにいくらでも無料の情報があるんだから」と、ケチらないことです。(無料の情報の良し悪しが見分けられるならいいのですが)



昨今、SNSや動画配信サービスを通じて、安易に山へ入る環境ができてしまっているという意見を聞きました。SNSや動画で見た景色を目指すことが悪いとは思いませんが、それらは非常に「主観的な情報」であることを忘れてはいけないのだと思います。その点、この地図から得られる情報には、前者と比べてデータが多いですし、専門家の意見や目を使ってチェックされた客観性があります。また公式出版物は精査されるのに対して、SNSは誤情報や誇張も多い。主観的な情報をそのまま受け取るのはラクで、客観的な情報を集めて自分ごとに置き換えて受け取るのは訓練が必要な面もあります。しかしながら、体力だけでなくこういった側面を含めて「山力」が鍛えられていくのですから、面倒がらずに取り組むのがいいと思います。


SNSのいいところは「今の様子」がわかる情報の速さ。通行止めや、植物の様子などは、こちらの情報が鮮度ピチピチで参考になります。ですから、わたくしのおすすめは、地図や書籍の情報をベースに、SNSなどで現状をチェックするという組み立て方。どちらもうまく使って、安全に楽しい旅になるようにしたいですよね。
冊子は家にお留守番させて、地図は現地に持っていきます。もちろん行動中はYAMAPなどの地図アプリを併用しますよ。この地図は、現地で眺めると最高に楽しいので、絶対に持っていくのがおすすめ。晩酌のつまみになりますよ。
では、今週はこの辺で。バイバイホウホーウ!
<今月の予定>
・9月21日(日) 大牟田駅近くのtaramu books&cafeに出張pop-up
・9月25日(木) ヤビロン弁当 要予約
・9月26日(金) ヤビロンおつまみ 乾杯しましょうー
先のことになりますが、10月は都合により土日休みが多くなります。今のところ決まっている休みは下記の通り
4日(土)
11日(土)12日(日)13日(月) 13日は、もしかしたらがんばってあけるかも?
18日(土)19日(日)
26日(日)