HouHou-ShuHou!第36号 南アルプスの旅中編
前編のあとは、後編かと思いきや、まとまりきらないので中編が誕生しました。
装備やウェアリング、旅程の組み方などをはさみつつ進めます。これからアルプスに遠征してみたいと考えている方の参考になればいいな。では、いってみよー!

歩き出してすぐ、左手には北岳が見える。今回歩くルートの中で1番目に出会うピークであり、日本で2番目の高さを誇る山です。吊り橋を渡ると、山歩きがはじまるぞー!という気分が高まる。

登りは暑いことを覚悟していたので、あらかじめシャツを脱いでノースリーブに。森歩きなので、日焼けの心配なし。うん。ノースリーブでも暑い。谷からあがってくる風の涼しさで、リフレッシュしながら歩けたのが救い。白根御池の手前でトラバース道に出るまではグングン登り続けるため、息があがりがち。ですが、お向かいの鳳凰三山を眺めて休憩できるベンチがちょいちょいあるので、そこで元気を急速に回復できます。

今回は、ひさびさのテント泊縦走。わたしたちの場合は、2人でひとつの装備を共有することもあって荷物を軽くしやすいという利点があります。テント、クッカー類はゆうすけ担当。食べ物類はまとめてわたくしが。

フゥフゥと森の中を登り切り、トラバース道に出てしばらくすると白根御池小屋があらわれました。

白根御池小屋では水を分けてもらうことができ、大変ありがたい。名物アイスクリームは売り切れ。もし食べられたのなら、登りでヒートアップした体に沁みるだろうなぁ。

ここから草滑りというエリア。小太郎尾根に向かって標高差約500mの直登道を、つづらに上がっていく。時期によっては高山植物の宝庫なのだそうですが、9月に入ってしまった為、綺麗に咲いているのはトリカブトくらい。ここを登りきれば稜線にでるぞー!標高もあがってきてけっこうしんどいぞー!!えいえいおー!!!

さて、それでも黙々と歩き続けて稜線に出たら、この景色ですよ!!

夏でも白く雪山のように見えるのは、花崗岩によるもの。あぁぁ、美しい。理由なんてどうでもよくて、ただただ美しい。ここまで来たら肩の小屋まではあとちょっとなんだけど、すぐ前を歩いている中国語を話す女の子は、もう脚が前に出ない様子。それでもがんばって、トレッキングポールにもたれるようにしてのそりのそり進んでいく。ついに追いついて、甲斐駒ヶ岳をバックに写真を撮ってあげようとしゃしゃりでると、お疲れながらにポーズをつくってくれる。「かわいいよー!かわいい!!」と、叫びながら撮ると、照れていてさらにかわいい。「KAWAII」は世界に通用する日本語なのですね。

さてさて本日の宿泊地、北岳肩の小屋に到着。お約束の看板前で記念撮影。こちらの小屋は2022年に全面改装されたばかりだそう。お手洗いもすごく使いやすかったです。3日間全体でのバランスを考えると、1日目で北岳山荘まで行けたらよかったんだけど、バスの都合で叶わず。せっかくだったら、景色を楽しみながらルンルンって歩きたいじゃないですか。8時半のバスに乗って15時に北岳山荘に着こうとするなら、出力100%くらいで歩き続けなければいけない。それはイヤだなーってことで、無理をせずに到着できるこちらにテントを張らせていただく計画にしたのです。
肩の小屋だって、すっごくいいところ!テント場からは鳳凰三山、富士山、八ヶ岳も見えてます。


テントを立てたら、ようやく!生ビール(1000円)と、担いできたとっておきのおつまみをいただきますよ。

ザックが大きく見えたのは、このパンパンに膨らんだポテトチップスのせいでした。テントとクッカーを担いでくれているゆうすけに、感謝をこめて。途中の八ヶ岳SAで買った、地域限定のちょっとお高いやつです。いい感じの塩加減が、疲れた体に沁みたー!今回の旅はお昼休憩を設けず行動食でやりくりする計画だったので、お腹の中は空き容量が多めになっていて、あっという間に食べ終わってしまいました。帰り道、お土産売り場でこのポテトチップスが置いてあるのを発見したゆうすけ「こんなに高いんだったら、もっとゆっくり食べればよかった!」ですって。

一息ついたら汗をかいた体を拭いて寝巻きモードに。(ウェアについては、あとで書きます)北岳肩の小屋の標高は3011m。北岳の山頂の直下に位置しており、南アルプス北部で最も高い場所にある山小屋のひとつ。(北岳山荘は北岳と中白峰の鞍部に位置する為2900m)その為、夜はかなり冷えこみ、場合によっては0℃くらいになることを想定。スリーピングシステムとテントは、以下の通りで快適でした。写真を撮るのを忘れました。
お夕飯のあとは、夕暮れショーを満喫。もくもくと無限に雲が湧いてきたり、八ヶ岳の上空に白い稲妻が光ったり。ずーっと見ていても飽きないですよね。

明日の天気、午前中は晴れ予報。富士山がピンクに染まる景色に期待をしながら、おやすみなさいー

おはようございます。
あれ?
ん?
なーんにも見えない。ガス!!!ガスの中にいる(絶望)
4時半に目を覚ますと、外はなーんにも見えないほどガスっていたので、テントの中で全ての準備を済ませ、ヘッドライトなしでも歩ける明るさになった6時出発。肩の小屋左手から登山道にあがり稜線の西側に出ると、ん??風、強いねぇ。というか、爆風だね…
晴れだけど風が強いという予報が8時頃まで続くことは、あらかじめ知っていた。けど、数字で見るより強い気がする。平均で風速8から10m/sはあり、休みなく吹きつけてくる。瞬間風速は15m/s以上ありそう。風の通り道になる場所では、しっかり岩を掴んでいないと、体が斜めになりそう。向かい側から吹いてくると、息ができない。一般的に、風速1m/sで体感温度が1℃下がると言われています。つまり、気温が10℃のとき、風速が10m/sだと、体感は0℃という計算。この時、気温計は8℃と表示されていた為、体感気温は−2℃から−5℃くらいかな?レイヤリングを間違えば、低体温症のリスクがありました。

ここでわたくしの持っていったウェアを紹介
・山と道 DF Mesh Merino Sleeveless
主な行動着
・山と道 MerinoShirt
日焼け対策
・山と道 DW 5-Pocket Pants
主な行動着
・山と道 Active Pullover
行動保温着だけど主に停滞時の保温着・寝巻きとして
・山と道 UL All-weather Hoody
レインウェア、ウィンドシェルとして
・山と道 UL All-weather Pants
レインウェア、停滞時タイツの上から履く用
・山と道 Light Alpha Tights
停滞時の保温着・寝巻きとして
・SN HouHouオリジナル ORITARA ONSEN Tshrit
寝巻き、雨に濡れた時の備えとして
<その他小物>
・swany Trail Leather Glove(トレイルレザーグローブ)
階段やロープ、岩場で使う
・finetrack エバーブレストレイルグローブ
雨対策(今回は使わず)
・HERITAGE eVent StoF ショートゲイター
雨対策(今回は使わず)
・山と道 Only Hood
晴れている時の強風対策・就寝時の寒さ対策
1日目の行動中は、DF Mesh Merino Sleevelessをベースに、稜線に出てからMerinoShirtを羽織りました。
2日目の朝、この強風の稜線歩きのウェアリングは、DF Mesh Merino Sleevelessの上にActive Pullover(行動保温着)を着て、UL All-weather Hoodyという組み合わせ。首には体温を保つために手拭いを巻いていました。グローブは、雨用も持って行っていましたがTrail Leather Gloveのみを使用。UL All-weather Hoodyは動き続けること前提とした全天候型ウェアなので、運動強度が高めで体温が上がりやすいけどレインは脱げないこんなときに、ぴったり。ゆうすけはDF Mesh Merino Sleevelessの上にメリノのシャツを着て、UL All-weather Jacketを着用していました。それから、巻きスカートタイプのレインウェア。あともうちょっと暖かさがほしいと感じていたとのこと。わたしのウェアリングはバッチリ条件にはまり、こんな悪天候でも楽しく歩けました。
そんなこんなで歩くこと30分ちょっと。北岳 日本で2番目に高い山に、とうちゃーく

晴れていれば日本で一番高い山を見ながら、ここに立つことができる。しかし、今日はガスの中。そんな日もある。頭の隅っこに「こんなにすぐ山頂に着くなら、昨日のうちに夕暮れでも見にくればよかった!」と後悔先立たずな考えもあるのはある…が、今は晴れることを信じて、前に進もう。(休息することも、すごく大事なのだ)無理せず、急がず、一歩一歩確実に。とはいえ暴風と霧の中でのルートファインディングに疲れて、北岳山荘で少し休憩させてもうらうことに。温かいものをいただきたかったけれど、まだ喫茶の営業時間前でした。ベンチをお借りして行動食をお腹にいれながら、この後どうしようかの会議。
この日は、もともと二つのプランを考えていました。
◎プランA 景色をのんびり楽しみながらゆっくり歩き、農鳥小屋のテント場で泊まる案。行動時間が短く(5h程度)12時すぎには着いてしまう。そのため天気が悪いとすることもなくただ時間を持て余す。晴れていたら、富士山や甲府の夜景がすごくきれいに見えるのだそう。
◎プランB 大門沢小屋まで下る案。行動時間は長め(+4.5h程度 プランAの倍!)だけど、水が豊富で沢沿いの雰囲気も良さそう。テント場から富士山も見える。標高1710mまで一気にくだるので、疲れた足には負担が大きい。
天気が悪いときは無理をしないこと、そして自分たちの体力や状況を見極めて、なるべくトラブルを避けるように考えるのが大事。標高が高いことも、いつもの山歩きとは違う要因。疲れる要因がひとつ多いことに。だから、どちらのプランにするかは当日の天気と体調次第というつもりでいました。ベンチの隣にいた男性は「この天気だし」と、下山を決めたようでした。わたくしたちはというと、
・翌日の午後から雨予報が出ている為、3日目の行動時間をなるべく短くしたい
・ガスの切れ間からときどき差し込む太陽を見ていると、もうじきガスが抜けそうな予感がある
このふたつの事柄からプランBを選択し、引き続き前進することにしました。最終決定は、農鳥小屋到着の時間を見てからにします。よーし、もりもり進むぞっ

はてさて、この先どうなる?今週はここまで。続きはまた来週!
*ここまで主に綺麗な写真 渡邉祐介
先のことになりますが、10月は都合により土日休みが多くなります。今のところ決まっている休みは下記の通り
4日(土)
11日(土)12日(日)13日(月) 13日は、もしかしたらがんばってあけるかも?
18日(土)19日(日)
26日(日)
土日しかお出かけできない皆様にはご迷惑をおかけします。9月は祝日を含めなるべくあけるようにしておりますので、ぜひお立ち寄りください。
それでは今週はこの辺で。バイバイホウホーウ!