*HouHou-ShuHou!合併号の続編です。一つ前の記事から読んでね
涸沢岳をすぎると穂高岳山荘の屋根が見え、低く微かにヴーンとモーターの音が聞こえた。自然を楽しみにきているのではあるけど、こうして文明がすぐそこにあることにホッとする感覚もある。

穂高岳山荘前の広場にて小休止ののち、いよいよ今回の旅の最終目的地、奥穂高岳の山頂を目指します。

地図のコースタイムで50分。登りはじめてすぐに梯子がふたつ連続する場所があり、連休中はさぞかし渋滞するのだろうなぁと想像。前半はわりとぐいっと高度をあげる道で、すぐに足がとまってしまう。でも、降りてくる人がみんなすっごく笑顔だし「いい景色ですよー!ジャンダルムが目の前にどーん」です、なんて言ってくるもんだから、ついつい「ガスがかかる前に到着しなくちゃ」と、速足にがんばっちゃう。
そして、どーーーーーーん!噂のアイツが現れたっ

右手には笠ヶ岳もドーンで、振り返れば槍ヶ岳がこんにちは。天空を歩いている気分を堪能していると、さてさて北九州の民、山頂に到着です。

お社に向かって、ここまでの健康と安全のお礼をして、この先も引き続きお見守りくださいとお願いする。いつもしていることだけど、なんだかこの日はうるっと来るものがありました。なかなか山頂を離れがたく、指をさしてはあれはどこだのそこだの言い合って、目を合わせてはいいねぇいいねぇと微笑みあって、達成感と幸福感に満たされました。無事に登頂できたからこそ、帰りはさらに安全に!10:30、穂高岳山荘のランチタイムが来るのを待って、ラーメンをいただきます。このしょっぱさが沁みるぅぅ

ザイテングラートを辿って涸沢小屋へ向かいます。小屋の直下には登山道上にまだ雪渓が残っていて、小屋番さんたちが雪かきをしてくださっていました。この日も午後から雨予報なので、正午着を目標に。早出早着、山の鉄則。それにしても、ザイテングラートなのかザイテングラードなのか、気になりませんか?皆さんは、どっち派?


涸沢小屋では、名物ソフトクリームとジョッキパフェをいただきましたよ。山の上で食べるソフトクリームって、下界の100倍おいしいよね。下界のソフトクリームだって、もちろんおいしいのだけど。九州の山で好きなソフトクリームは、牧ノ戸峠の!長者原のもおいしいよね。


3日目
モルゲンロートを目に焼き付けた後、朝ごはん。もう下山の日がやってきてしまったのかと、しんみりモードになりがちですが、下山後のお風呂を楽しみに歩きますよ。

今日も暑くなりそう。お風呂までがまんできない私は、涸沢の雪解け水で頭を冷やします。実はこの直前、水を浴びる支度をしているところ「ホウホウさんですか?」と北九州からのハイカーさんに声をかけていただきました。あやうく妖怪みたいに頭を冷やしているところをみられるところでした。セーフ。頭を冷やせば元気100倍。冷静に、安全に、さわやかに。水が冷たすぎて、頭皮が痛い。

帰り道もまた徳沢園に寄り道して、カレーとトースト、そしてコーヒーフロート食べる。旅の間、ほぼ毎日アイス食べてない?

OkaraのPOP-UPでゲットしたOkaraくんスカーフと、ストレッチメッシュキャップの色を揃えたのが、わたくしなりのおしゃれ心でございます。どの口が「おしゃれ」を語るんやとお思いかもしれませんが、ご容赦くださいませ。そうそう今回のレイヤリングも、Instagramにて紹介していますのでよかったら参考にしてください。

穂高神社奥宮でもう一度、旅の、人生の無事についてお礼を。平日でも人人人で原宿の竹下通りみたいな河童橋を越え、上高地温泉ホテルで汗を流してから帰路につきました。ざんぶりとお湯につかれる幸せ!山での時間を経て文明に触れると、そのありがたみを改めて感じられるところが好き。

ザックは山と道THREEを使うか、PAAGOWORKS ZENN25を使うか、出発直前まで迷いました。しかし、お客様からたびたび「ヘルメット持参の小屋泊だったら、THREEくらいの容量が必要ですよね」という質問を受けていたので、それを検証してみようとTHREEで行くことにしました。
結論からいうと、THREEだとちょっと持て余しました。容量的には40L入り、10kgくらいまでは快適に背負えるデザインなので、テントや食料を持ち運ばなくていい小屋泊だと、やっぱりオーバースペックになりますよね。当然です。
ですが、便利に感じるところもたくさんあったので、使い方によっては十分おすすめできると感じました。
・ヘルメットを外付けしなくていいので、公共交通で移動するのに安心感がある
特に今回は、バスに乗る際トランクに預けなければいけなかったので、外付けは避けたかったんですよね。万が一外れてしまって、気づいたらヘルメットが無い!なんて考えただけで恐ろしい
・帰りにお土産を買い過ぎても余裕でザックに入るので、手ぶらで移動できる
移動先で、ついつい増やしてしまうお土産。手持ちにすると、乗り換えの時に忘れそうで不安なんですよね。全部入ったので安心。ビールやお酒を買いすぎて重くなっても、腰に荷重分散できます。
・部屋でパッキングしづらい時、とりあえずザックに全てをいれてしまい外に出てしまうということが可能
相部屋で早立ちの時、寝床でガサゴソすると申し訳ない感じになりませんか?わたしはその息が詰まった時間が大嫌いなので、とりあえず全てを適当に詰めて外に出てからパッキングします。容量ぴったりのザックだと、この「とりあえず」がしにくい。
THREEはサイドのコンプレッションストラップをしっかりとひけば、幅をかなり薄くすることができ、また上部のロールトップも極限まで丸めてしまえば、パッと見で25L程度のザックに見えなくもないくらいコンパクトになります。コンパクトにすることで中で荷物が動くこともなく、安定感もありますよ。また、腰にも重さを逃がせるのでラクなんですよね。今回、荷物がいちばん重くなったのはお土産がいっぱい入った帰り道で、体感7kgくらいでした。7−8kgになると、この荷重分散に助けられると感じました。肩と背中で重さを受け止められている時は、腰のストラップは外しておけばいいので、その辺はより快適な方を随時選べばいいと思います。
ちなみに同行のもとさんは、MINIのカスタムエディションを使っていました。ガスやクッカーを持っていかないのなら、MINIでも十分ヘルメットインできそうですね。

私ごとですが、8年間連れ添ってきた山と道THREEが、使いすぎにより限界を迎えまして、新素材UX10を使用したものを手に入れました。これからまた、この新しい相棒といろんなところに行きたいなぁ。甘やかし過ぎずに、でも大切に使います。
さて、これにてHouHou-ShuHou!29・30合併号はおしまい。今度は、みなさんの遠征のお話を聞かせてくださいね。お店で待ってます!それでは、また来週。バイバイホウホーウ!!
写真:渡邉祐介