HouHou-ShuHou!第48号
12月スタート!良いお年を…なんて挨拶が聞こえ始める季節。北九州では気温がグッとさがって、トタン屋根に霰がおちてカツンカツンと音を立てました。そろそろスタッドレスタイヤを準備して、白いお山に突撃したいですね。
さて、週末は法華院ギャザリングにボランティアスタッフとして参加していました。2年ぶり4回目の開催となった、このイベント。晴天に恵まれて昼間はポカポカ、夜は一面の星空と最高の1日でした。

午前中はギアマルシェ。各ギアメーカーが、背中に商品を担いで集まるこのマルシェ。法華院温泉山荘の2階大部屋が、会場です。作り手さんと直接お話ができる貴重な機会。みんな、何をゲットしたのかな?わたくしはMINOU BOOKSさんで一冊の本とステッカーを選びました。

午後からは、今回のテーマ「インタービーイング」を掲げたトークショー。ゲストは山戸ユカさんと、坂本大三郎さんのおふたり。どちらのお話のテーマも興味津々でした。
山戸ユカ
2013年、東京から八ヶ岳南麓に移住し、レストランDILL eat,lifeを開業。
登山、クライミング、スキーなどフィールドでの経験を生かし2019年にレストランクオリティーの無添加トレイルフードThe Small Twist Trailfoods の製造を開始する。
レストランと食品加工で出る生ごみは全てコンポストで堆肥化し、畑で野菜を育てる。地域コミュニティの中での循環型の生活の実践と、その普及活動を仲間と行っている。
坂本大三郎
芸術家・山伏。著書に『山伏と僕』(リトルモア 2012)、『山伏ノート』(技術評論社 2013)、『山の神々 』(A&F 2019)等。芸術家として、石巻リボーンアート・フェス(2020、2021)、documenta15(ドイツ、2022)、100 tonson foundation『Planetary Seed』(タイ、2024)、European Capital of Culture 『AIGU OM!』(エストニア、2024).等に参加。

特に山戸ユカさんが語る日々の暮らしの様子は、地球の循環の中に身を置き、一部となり、自然の中で自分たちの人生を力強く生きていることが伝わってきて、とてもスムーズに”インタービーイング”を感じました。わたしたちって、ついつい自然からの恩恵に甘えて、もらうばっかりになりがち。生かしてもらっている環境に対して敬意をもち、与えられるだけでなく守っていくということを無理なく実践している様子には、美しさを感じます。
そのお話の中で出てきた「コンポスト」について、今日はお話ししようかな。
コンポストって楽しいよ
わたくしにできる、小さな小さな環境への取り組み、それがコンポスト。使い始めて6年近く経ちました。
あ、ちょっと待って!「環境」とか「地球にやさしく」とか言い始めるとなんだか説教くさくなるし、つまらない。綺麗事を聞かされると胃もたれしちゃうの、わかってます。そういう話は一切しません。「○○のために」と、あえて言うなら「わたしの楽な暮らしのために」って話をします。

そう、コンポストって暮らしが楽になって、しかもペットを飼ってる感覚で楽しいんだよっていう、二つの「楽」を紹介したいんです。
わたくしが使っているコンポストは、こちら↓ 福岡の企業なんですよ。

生ごみを 入れる 軽くまぜる やることはこれだけ。捨てれば「ごみ」になる食べものを、コンポストをつかって土の「栄養(堆肥)」に変え、その土で野菜を育てる。わたくしの場合、野菜を育てるところまでは手が回らないので、熟成した堆肥を人にもらっていただいています。(そうしてできたお野菜を、ちゃっかりお裾分けしてもらっています。てへ)また、車を持たない友人は、「土を買うのって重たくて大変だけど、これがあれば土をほとんど買わなくていいんだよねー」と言っております。
このコンポストを使い始めて一番うれしいポイントは、ゴミ捨ての回数がめっちゃ減ったこと。それまでは匂いも気になって必ず週に2回捨てていたのですが、今では1〜2週間に1回でOKに。単純にゴミとするものの量が減ったことの他に、ゴミ箱から生ごみの匂いがしてこないというのが助かりポイント。夏場も安心。ゴミ袋も節約できるし、いいことづくめ。
どんなものを入れていいの?っていうのが、気になるポイントですよね。いわゆる「生ごみ」とされているものは、だいたいいけます。
いままでゴミとして捨てていた野菜や果物の皮、あるいはどうしても発生してしまった食べ残し、野菜室のすみっこでしなしなを通り越して溶け始めてしまったお野菜、お出汁やお茶のでがらしなどなどは、コンポストの中で働く微生物にとってはごちそう!ゴミを捨てているというより、エサをあげている気分で付き合っています。「ポッくん」と名付けた我が家のコンポスト君を観察していると、好きな食べ物は「米糠」のようです。なんでわかるかって?それはポッくんがほんのりいい感じに発熱するから。元気に分解しているなーっていうのが、肌で伝わってくるんです。

その他に、ビールの缶、ジャムや油の瓶を捨てる時、中を濯ぎますよね。その濯ぎ水を排水溝に流すのって、めっちゃ罪悪感ありません?それに、単純にシンクや排水溝がべとついて汚れるのがイヤ。でもでもでも、その濯水は、ポッくんの大好物みたいです。

カレーのお皿や、お皿にに残ったドレッシングやマヨネーズもヘラでこそいで、ポッくんのご飯に。おいしそうに食べてくれますよ。鍋のこびりつきをゆるめたお水も、水分調整してから入れちゃいます。
ここからは、AIに助けてもらってコンポスト内の微生物さんが好きなものをまとめてみました。
コンポスト内の微生物が特に好むのは次のタイプのもの。
- 単純な糖類
果物の皮、野菜のへた、残ったご飯など。
これは“すぐ食べられる炭水化物”。反応が早いから、温度が一気に上がるときの主役。 - 脂質が豊富なもの
米ぬか、ナッツのかす、揚げ物の残り。
分解にはやや時間がかかるけど、熱量が大きいので微生物の“スタミナ源”。
米ぬかの約20%は油分だから、コンポストの温度をじわっと底上げしてくれる。 - アミノ酸・たんぱく質
大豆かす、魚の骨粉など。
たんぱく質は分解するとアンモニアが出るので、量は控えめだけど、微生物的には「ごちそう」。 - 細胞壁がやわらかい植物の残渣
葉っぱ、果菜類の皮など。
繊維質が弱いので“前菜”みたいにさくさく食べられる。
逆に微生物が「ちょっと苦手」なのは、
- 分解に時間がかかるリグニン(木質系)
- 単純に量が多すぎる水分
- 塩分が濃いもの
- 酸が強いもの
- 油だけを大量に入れた時(酸欠を起こしやすい)
油は好きなんだけど、“油だけドバッ”は処理しきれず、むしろ嫌がる。人間と同じ。
米ぬかに反応がいいのは、
糖(デンプン)
脂質
アミノ酸
ミネラル
全部詰まってる上に、粒子が細かいから表面積が広く、微生物が“かじりやすい”。
脂質(油)+糖類+アミノ酸+ミネラルが全部入りの“スーパーフード”。
だそうです。失敗を恐れずに、いろいろ試しながら付き合っていくのも、面白いですよ!
わたくしたちがゴミとしていたものは、微生物にとってのゴハン。微生物の代謝によって生み出されたものは、野菜たちにとってのゴハン。そして、そのお野菜をゴハンとしていただくわたしたち。まさに、相互共存インタービーイングですね。
環境に対しての話をちょっとだけ付け足すと、生ごみの約90%は水分なのでゴミとして焼却すると燃料は余計に必要になり、CO₂が排出され、環境負荷が増えてしまう。なので、コンポストはちょっと面倒でしないかもなーという方も、野菜クズやコーヒーやお茶の出涸らしなどを2・3日乾燥させてから捨てるだけでも、地球への負担を減らせるのでオススメ。あと、単純にゴミが軽くなるから、捨てる時ラクになるよー
仮に法華院ギャザリングに来た人全員がコンポスト生活をはじめると、
200(人) × 200(g/人/日) × 365(日) = 14,600,000 g = 14,600 kg = 14.6 トン/年
年間約15トンものゴミが減らせるという試算。これって、ちょっとすごくないですか!
ただでさえ忙しい毎日を送っているところに、自分の時間を割いて環境への取り組みを図れるような現代人は、とてもとても少ないと思う。正直、わたくしもめちゃめちゃ疲れていたら、直接ゴミ箱にポイなんてこともありますよ。無理したら楽しくない。義務になったら疲れる。だからこそ、自分本位で続けられることをやったらいいと思うのです。
生活が楽になる上に、ペットを飼っている気分になれて、そのうえゴミが減らせちゃう。なんなら、お裾分けの野菜もいただけちゃうコンポスト。ちょっと興味が湧いたんじゃないですか?管理は本当に楽ちんなので、迷っているくらいなら1回試してみてはいかがでしょうか。お試しセットがありますからね。
https://lfc-compost.jp/ LINEで使い方のサポートもしてくれるので、不安少なくスタートできますよ。わたくしは回し者でもなんでもないただの1ファンですが、6年使ってきてわかることは、なんでもお答えいたします。

法華院ギャザリングが終わって下山した長者原駐車場で、一二の京子ちゃんと、九丸くんに会えたことを自慢しつつ、今週はこの辺で。また来週お会いしましょう。バイバイホウホーウ!

